建物に関するお役立ち情報 No.5
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20年前に建てた家は登記できるか

Question

父が20年前に家を建てたのですが、登記することなく2年前に亡くなりました。

現在は、母と私の家族4人で住んでいますが、家が手狭になってきたこともあって、全体のリフォームと増築を考えています。

自己資金が足りないので、1500万円ほど融資を受けたいと思っていますが、銀行は抵当権の設定登記を条件に融資できるとのことでした。

父が新築した時の建築確認済証や検査済証などの書類は亡失していますが、今回のような古い建物でも登記できるのでしょうか?

Answer

結論からお話しすると、必要な書類が揃えば登記は可能です。

建物登記に必要とされる書類は、原則として次のうちの2種類が必要であり、登記官が申請人の所有権の取得を推認できる書類となります。

  1. 確認済証
  2. 検査済証
  3. 建築請負人の工事完了引渡証明書+印鑑証明書
  4. 建築請負契約書+工事代金領収書
  5. 固定資産税納付証明書又は固定資産税台帳登録事項証明書
  6. 敷地所有者の証明書
  7. 敷地の賃貸契約書
  8. 火災保険加入証書
  9. 電気ガス水道等の設備代金領収書
  10. 建物の建築を目的とした金融機関の貸付証明書
  11. 隣地居住者の証明書
  12. 借家人の証明書

今回の場合は、亡くなったお父さんが建築した建物に増築するので、「既存部分の所有権証明書+相続証明書」と、新たに「増築する部分の所有権証明書」が必要となります。

相続証明書とは次の1〜6の書類をまとめたものです。

  1. 相続関係説明図
  2. 遺産分割協議書(誰が相続するかを明らかにした協議書)
  3. 印鑑証明書
  4. 戸籍謄本・戸籍抄本
  5. 戸籍の附票
  6. 住民票除票・住民票謄本・住民票抄本

以上のような書類を揃えることで、建物表題登記を申請することになります。

抵当権設定登記を行うには、次の順序を経ることにより登記可能となります。

建物表題登記(代理人:土地家屋調査士)
     ↓
建物保存登記(代理人:司法書士)
     ↓
抵当権設定登記(代理人:司法書士)

建物表題登記は、上記のような書類が必要となるため、建物を新築した際は遅滞なく登記をしておくことが最も重要です。

特に所有権証明書として、検査済証・確認済証(設計図含む)等を亡失してしまうと、建物が複雑な場合、建物の構造・床面積等を特定するために、調査測量に関する費用が通常より多く発生することもあります。

また、未登記建物の状態で何十年も放置していると、いざ登記をしようとする段になって、全く予想もしていなかった相続人を相手に遺産分割協議をしなければならない事態に陥る場合もあります。

それは、残された家族の負担を考えた場合、とても大きな負担となってしまいますし、最悪の場合は「登記が出来ない」ということもありえます。つまり、今回の事例では融資が受けられないため、リフォームや増築が出来ないことになってしまいます。

不動産登記法では、建物を新築した場合、所有者に1ヵ月以内に建物表題登記を申請する義務を負わせています。

怠った場合は10万円以下の科料というペナルティを科していますが、今回のような案件を、日常的に扱っている土地家屋調査士としてアドバイスさせていただくならば、「建物登記の手続費用を節約する利益」よりも、登記することによって所有者が享受する「権利の明確化に対する利益」の方がはるかに大きいのです。

もっと詳しくお知りになりたい場合には、お近くの土地家屋調査士におたずねください。

情報提供:土地家屋調査士結城輝夫事務所<宮城県仙台市>

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