お役立ち情報バックナンバー

2022/03/01(火)

土地建物のお役立ち情報 第0032号 「市街化調整区域に住宅を建てたい」

☆☆☆☆土地建物のお役立ち情報「登記・測量のQ&A」☆☆☆☆

土地家屋調査士の高橋昇です。
いつもご愛読ありがとうございます。
本日、3月1日…月初にはいつも「もう〇月かぁ…」と思わずにはいられないのは、歳のせいなのか?懸命に頑張っているからなのか?ここはポジティブに後者と言う事にしておきます。
そして、世の中がまた新たに騒がしくなって来ましたが、私のような者は自分の出来る範囲で出来る事をするしかないのだなぁ…と感じる今日この頃です。

このメールは私と名刺交換していただいた方、私のホームページからお役立ち情報をお申し込みいただいた方に、身近な事として登記測量に役立つメッセージをお届けしております。
https://to-ki.jp/takahashijimusyo/

配信の申込み、変更、解除はこちらです。
https://to-ki.jp/takahashijimusyo/useful

配信済みのお役に立ちメールにつきましてはホームページの「お役立ち情報」→「お役に立ちメール」→「お役に立ちメールバックナンバー」より確認することが出来ます。

───────────────────
◆登記・測量のQ&A 第0032号
「市街化調整区域に住宅を建てたい」
───────────────────

★★★★★「市街化調整区域に住宅を建てたい」★★★★★


問い
------------------------------------------------------------------
私は農家を営んでいますが、二男夫婦が去年の秋、東京から引っ越してアパート住まいをしています。

仕事も落ち着いたので、畑の一部を二男に贈与して家を建てさせたいと考えています。

私が住んでいる地域は市街化調整区域に属しています。

この場合、土地に関してどのような手続きが必要になるのでしょうか?

答え
------------------------------------------------------------------
「都市計画法」は、無秩序な市街化を防止するために、市街化区域と市街化調整区域という都市計画区域を定めています。

市街化区域は、すでに市街地を形成している区域、及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図る区域です。

市街化調整区域は、市街化を抑制する目的の区域ですから、例外的に建物の建築が認められることはありますが、一般の人が住宅を建築することは原則として認められていません。

市街化調整区域内において例外的に認められる開発行為等は,次に掲げる都市計画法第34条各号のいずれかに該当する場合に限られます。

1号
周辺居住者の日常生活に必要な物品の販売・加工・修理等の業務用の店舗,事業場等

2号
市街化調整区域内の鉱物・観光及び水資源の有効利用上必要な建築物

3号
温度,湿度,空気等について特別の条件を必要とする政令で定める事業の用に供する建築物(適用該当なし)

4号
市街化調整区域内で生産される農・林・水産物の処理,貯蔵及び加工施設等

5号
県が国等と一体となって助成する中小企業共同化施設

6号
市街化調整区域内に現存する既存工場と密接な関連を有する事業用施設等
7号
火薬類の貯蔵又は処理施設

8号
道路管理施設,休憩所または給油所及び火薬類製造所

8号の2
集落地区計画内の建築(適用該当なし)

9号
既存の権利の届け出をした者が5年以内に行う建築(適用該当なし)

10号イ
計画的な市街化を図るうえで支障がなく,開発審査会の議を経たもの
(大学,研究所等で5ha以上のもの及びそれらと一体に行われる住宅で10ha以上のもの)

10号ロ
市街化を促進するおそれがなく,かつ市街化区域で行うことが困難又は,著しく不適当と認められるもので,開発審査会の議を経たもの
(農家等の分家住宅,集会所,既存建築物の建替,幹線道路の沿道等における大規模流通業務施設,老人保健施設,有料老人ホーム等)


以上の中から設問に該当するのは、10号ロです。
この場合(農家の二、三男の分家開発)の要件は次のようなものです。

1、本家たる世帯の構成員、または構成員であったものが分家すること。

2、分家しようとする者が、譲渡、贈与、相続によって取得した土地であること。

3、既存の集落内またはその周辺にあること。

4、市街化調整区域内以外には住宅を建築できる土地がないこと。

等の合理的な事情があること。

これら要件以外にも細かな規定がありますので、詳しくは各市町村や県の宅地開発課に相談することが必要です。

また、農地転用許可も必ず必要になりますので、詳しいことは、各市町村の農業委員会に相談するとよいでしょう。

このように市街化調整区域に住宅を建築する場合は、もともと宅地として整備していない土地ですから下記の事項をチェックする必要があります。

1、建築基準法上の道路に接していますか?

2、雨水の排水ができる水路か側溝がありますか?

3、道路に水道本管が来てますか?

4、道路に電柱、電話柱が来てますか?

5、道路に下水道がありますか?整備されてなければ、浄化槽の設置が必要になります。(各漁協、土地改良区等の放流同意書要)

6、農業振興地区(農振地区)に指定されていませんか?指定がある場合は"解除"の手続きが必要です。(年2回の審議のため最長6ケ月を要する)

7、地目は何ですか?農地(田、畑)なら"宅地"に地目を変更する手続き(農地転用)が必要。

8、道路と敷地の段差はありますか?道路より敷地のほうが低い場合は土盛りが必要になります。(面積と高さにより宅造規制がかかる)

9、分筆が必要ではありませんか?(転用面積には制限があり、おおむね500u以下)

10、以上の各申請手続き及び農地法許可、開発許可手続きの諸費用

このようなチェック項目をクリアするためには時間と費用がかかります。

以上のことから、農地を宅地に整備する場合と、住宅団地に宅地を購入する場合とを、経費と日程の両面から比較検討してみる必要があります。

次回は「公図の無番地は脱落地なのか」についてです。

どのような内容なのか、楽しみにお待ち下さい。

------------------------------------------------------------------

読者の皆さんの声をいただくことが、私にとって何よりの励みです。
どんな些細なことでも結構です。ご意見ご感想など、お便りいただけると本当に嬉しいです。
ご意見・ご感想 e-mail takahashijimusyo@to-ki.jp


私達、土地家屋調査士は市民生活と密接に関係する土地・建物について、登記・測量の分野で深く関わっております。

ご質問、ご相談は、土地家屋調査士事務所をご活用下さい。

お電話又はホームページからご連絡いただきますと無料でご相談をお受けしております。
ただし、法務局等の調査が必要な場合は、登記印紙などの実費は有料となります。(実費はおおむね5000円〜10000円程度です)
https://to-ki.jp/takahashijimusyo/

ただし、高崎市を中心とした群馬県内に限定させていただきますので、よろしくお願いいたします。

【発行所】
───────────────────
☆土地を識り、人と社会につくす地識人☆
☆境界測量・土地建物登記の専門家☆
☆土地家屋調査士高橋事務所☆
───────────────────
〒370-0002
群馬県高崎市日高町1319番地1 クラージュ305
TEL 080-4002-6862
FAX 029-307-8046
e-mail takahashijimusyo@to-ki.jp
土地家屋調査士 高橋昇

あなたの街の登記測量相談センター〈高崎〉
https://to-ki.jp/takahashijimusyo/

バックナンバーリスト

2022/06/01(水) 土地建物のお役立ち情報 第35号 「縄延び、縄縮みはなぜ起こるのか」
2022/05/01(日) 土地建物のお役立ち情報 第34号 「登記面積より少ない実測面積」
2022/04/01(金) 土地建物のお役立ち情報 第0033号 「公図の無番地は脱落地なのか」
2022/03/01(火) 土地建物のお役立ち情報 第0032号 「市街化調整区域に住宅を建てたい」
2022/02/01(火) 土地建物のお役立ち情報 第0031号 「分譲マンション土地の持分は」
2022/01/01(土) 土地建物のお役立ち情報 第0030号 「土地家屋調査士とは」
2021/12/02(木) 土地建物のお役立ち情報 第0029号 「位置指定道路について知りたい」
2021/11/15(月) 土地建物のお役立ち情報 第0028号 「土地を分割して相続させたい
2021/11/01(月) 土地建物のお役立ち情報 第0027号 「幅員3メートルの市道、道路後退必要か」
2021/10/15(金) 土地建物のお役立ち情報 第0026号 「雑種地の意味教えて・宅地への変更可能か」
2021/10/01(金) 土地建物のお役立ち情報 第0025号 「休耕田の地目変更できるか」
2021/09/15(水) 土地建物のお役立ち情報 第0024号 「ビニールハウスは登記できるか」
2021/09/01(水) 土地建物のお役立ち情報 第0023号 「傾斜地がある土地の境界線はどこか」
2021/08/15(日) 土地建物のお役立ち情報 第0022号 「土地の境界石は信頼できるか」
2021/08/01(日) 土地建物のお役立ち情報 第0021号 「通行地役権を設定したい」
2021/07/15(木) 土地建物のお役立ち情報 第0020号 「仮換地上の建物の登記」
2021/07/01(木) 土地建物のお役立ち情報 第019号 「違法建築の建物登記は可能か」
2021/06/15(火) 土地建物のお役立ち情報 第018号 「幅員4メートルない位置指定道路」
2021/06/01(火) 土地建物のお役に立ち情報 第017号 「いつ建物として認定されるか」
2021/05/15(土) 土地建物のお役に立ち情報 第016号 「確定測量図の押印なぜ必要」

総数:55件 (全3頁)

前20件 1 2 3 次20件