お役立ち情報バックナンバー
2005/08/15(月)
第021回「権利証の廃止について」
■■■■登記の加賀谷「土地建物の悩み相談Q&A」■■■■
こんにちは!
土地家屋調査士の加賀谷朋彦です。
まだまだ暑い日が続きますが、朝夕、はっと秋らしい涼しさに気がつく今日このごろです。気温だけでなく、暑さがやわらいでくるにつれ空気も澄んできて、空が美しくなります。皆さんも夜空を仰ぐことが多くなるのではないでしょうか。
このメールは私と名刺交換していただいた方、「かがや登記測量事務所」
http://to-ki.jp/kagaya/ からお役立ち情報をお申し込みいただいた方に、
身近な事例として登記測量に役立つメッセージをお届けしております。
配信の申込み・変更・解除はこちらです。
http://to-ki.jp/kagaya/info.html
★★★8月[第21回目]の悩み相談宅急便★★★2005.8.15
******「権利証の廃止について」******
問い
-----------------------------------------------------------
不動産登記法が改正されて権利証(登記済証)が廃止されたそうですが、具体的にはどのようなことなのでしょうか。
答え
-----------------------------------------------------------
オンライン指定庁に指定された登記所では、インターネットによる登記申請に切り替わります。(おまけとして書面申請もできますが)
つまりインターネットという電子情報による申請ですから、当然、紙(書面申請)を使いません。
権利証は登記申請の際に申請書の写し(副本)に受付年月日、受付番号を付した「登記済」の判を押したものが交付されると権利証になるのですが、オンライン申請の場合は情報のみをやりとりするので、結果的に紙で出来た権利証は廃止となるわけです。
ただし、オンライン指定庁になってない登記所の扱いは旧来のままです。
権利証の代わりに交付されるのが「登記識別情報」となります。
「登記識別情報」とは、登記所が無作為に選んだ12桁の英数字を組み合わせた情報(AからZまでと0から9まで)で次のようなイメージです。
185A33CRX54G
前回のQ&Aでもご説明しましたが、現在のところ埼玉地方法務局上尾出張所のみがオンライン指定庁ですので、今の時点ではほとんどお目にかかりませんが、近い将来、権利証に代わる大切な情報として一般的になって
行くことでしょう。
では、現在まで既に交付されて来た膨大な数の権利証はどのような意味を持つのでしょうか。
その答えは2つです。
書面申請にあっては今まで通り登記申請に必要な重要書類として扱うことができますが、オンライン申請の場合は、ただの紙切れになってしまいま
す。
具体的に言うと、今までは、「権利証・印鑑証明書・実印」の3点セットが揃うと所有権に関する登記申請の本人確認が出来たのですが、オンライン指定庁になると「登記識別情報」が3点セットに取って代わることになります。
ですから、「登記識別情報」という情報をしっかり管理して行かないと、本人の知らないうちに不動産の名義が変わっていたという事態にもなりか
ねません。
しかし、キャッシュカードの暗証番号(わずか4桁)でさえ上手に管理できないのに、不動産の取引が発生すると、12桁もの登記識別情報を管理しなければならなくなります。さらに、登記ごとにいくつも発行されるとなるとますます憂鬱になってしまいます。
政府が進めているe-Japan構想では、電子政府の樹立によって国民の利便性を高めながら、コストのかからない仕組みを作ることが目標のはずですが、本当にそうなるかどうかは今のところ疑問です。
不動産の所有者は中高年者がほとんどです。
今回の不動産登記法の改正に伴って権利証が廃止され、替わって登記識別情報がどのような意味を持つのか、それをどう管理すればいいのかを学んでもらうだけでもかなり骨の折れる啓蒙活動が必要なのではないでしょうか。
ところで、オンラインでの登記申請の具体的方法とはどのようなものでしょう。
たぶん、法務局の登記官に電子メールで添付ファイルを送りつける程度と思っていたらそうではなかったのです。
次回は「話し合いによる区画変更は可能か」をお届けします。
どのような内容なのか、楽しみにお待ち下さい。
-----------------------------------------------------------
私たち土地家屋調査士は市民生活と密接に関係する土地・建物について、
登記測量の分野で深く関わっております。
今回のようなご相談は土地建物登記の専門家、土地家屋調査士をご活用下
さい。
お電話又はホームページからご連絡いただきますと無料でご相談をお受け
しております。
どうぞお気軽にご相談下さい。
http://to-ki.jp/kagaya/
【発行所】
あなたの街の登記測量相談センター
専任相談員 土地家屋調査士 加賀谷朋彦
事務所
〒320-0027宇都宮市塙田4丁目6番6号
(東和コンサルタント株式会社内)
TEL028-627-4311 FAX028-627-4447
【発行責任者】 加賀谷朋彦 かがやともひこ
ご意見・ご感想をお待ちしております。
kagaya@to-ki.jp
こちらのホームページも是非ご覧下さい。
http://www16.ocn.ne.jp/~kagaya/
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 2005.8.15
バックナンバーリスト
2006/02/01(水) 第32回「幅員4メートルない位置指定道路」
2006/01/22(日) 第31回「いつ建物として認定されるか」
2006/01/03(火) 第30回「確定測量図の押印なぜ必要」
2005/12/15(木) 第29回「土地の境界はいつできたか」
2005/12/01(木) 第28回「地番と住居表示の違いがわからない」
2005/11/15(火) 第27回「買った土地の面積が少ない」
2005/11/01(火) 第26回「隣の家の土地との境界線を確定したい」
2005/10/15(土) 第25回「マンション購入者に敷地の所有権あるか」
2005/09/30(金) 第024回「分譲マンションの敷地とはどこまでか」
2005/09/15(木) 第023回「相続した土地の場所が不明」
2005/08/31(水) 第022回「話し合いによる区画変更は可能か」
2005/08/15(月) 第021回「権利証の廃止について」
2005/08/01(月) 第020回「オンライン登記所の指定とは」
2005/07/15(金) 第019回「新不動産登記法Q&A]
2005/07/01(金) 第018回「河川保全区域内の土地分譲手続き」
2005/06/15(水) 第017回「プレハブ建物を登記したい」
2005/06/01(水) 第016回「境界標の種類について」
2005/05/15(日) 第015回「縄延び、縄縮みはなぜ起こるのか」
2005/04/30(土) 第014回「登記面積より少ない実測面積」
2005/04/15(金) 第013回「公図の無番地は脱落地なのか」