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2019/08/01(木)
第230回「床面積に含まれない部分」「登記できない建物」「主である建物と附属建物」
本 文
■■■■登記の加賀谷「土地建物の悩み相談Q&A」■■■■
こんにちは!
土地家屋調査士の加賀谷朋彦です。
お暑うございます。関東地方は7月29日にようやく梅雨明けして、いよいよ夏本番の陽気となって参りました。皆様には、体調には十分留意されてお過ごし下さい。
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★★★[第230回]の悩み相談宅急便★★★2019.8.1
***「床面積に含まれない部分」「登記できない建物」「主である建物と附属建物」につい***
前回は「建物の種類」「建物の構造」「建物の床面積」について概要をお話しました。
今回は、「床面積に含まれない部分」「登記できない建物」「主である建物と附属建物」についてお話します。
まず、「床面積に含まれない部分」について概要をお話しします。
問い
------------------------------------------------------------------
建物の登記記録に記載されている床面積には、ベランダやバルコニーは含まれないそうですが、床面積に含まれない部分とはどのようなものなのでしょうか?
答え
────────────────────────────────
建物の登記記録に記載されている床面積には、周囲に壁のないベランダやバルコニーは含まない事になっています。
また、天井までの高さが1.5メートル未満の地下室や屋根裏部屋等も床面積に算入しないことになっています。
その他、階段や出窓は、条件によっては床面積に含まない場合があります。
■階段について
一般的な住宅の階段は二階の床面積に算入されるのですが、参考写真のような、吹き抜け部分に設置された、手すりだけの階段は二階の床面積に算入されません。
参考写真:
http://www.to-ki.jp/data/VOL-335_1.jpg
また、参考図1のような建物の外側に設置された屋外階段も、二階の床面積に算入されません。
参考図1:
■出窓について
出窓は、高さが1.5m以上のもので、その下部が床面と同一の高さにあるものに限り、床面積に算入されます。
参考図2の(1)は、出窓の下部が床面と同一の高さにありませんので、床面積には算入されませんが、(2)と(3)は算入されます。
参考図2:
以上、「床面積に含まれない部分」について簡単にご紹介しました。詳しくお知りになりたい場合は、お近くの土地家屋調査士にご相談ください。
次に、「登記できない建物」について概要をお話しします。
問い
------------------------------------------------------------------
ビニールハウスは登記できないと聞いたのですが、どのような理由で登記できないのでしょうか?
答え
────────────────────────────────
建物として登記するためには、満たさなければならない要件があります。
登記の対象となる建物の要件とは、次のようなものです。
(1)屋根および周壁などで外気を分断できること。
(2)土地に固定されていて容易に移動できないこと。
(3)永続的に使用できること。
(4)その建物の目的とする用途に使える状態にあること。
(5)独立した不動産として取引対象となりうるものであること。
これらを全て満足しなければ、建物として登記できません。
ビニールハウスの場合、屋根や周壁の部分がビニールで覆われているだけですから、耐久性に乏しく永続性にも欠けますので、登記できないのです。
しかし、屋根や周囲にガラスまたはガラス質の板がはめ込まれているような場合は、建物として認められる場合があります。
その他、登記の対象とはならない建物には次のようなものがあります。
・コンクリートブロックの上に設置された組み立て式の物置
容易に移動できるので、定着性があるとは言えず登記できません。
・工事現場に設置されているプレハブの事務所や作業宿舎
工事終了後に取り壊すことが予定されているので、永続性に欠けます。
また、丸太杭の上に土台を置いて、鎹(かすがい)で固定しただけのプレハブ建物は、定着しているとはいえないので登記できません。
・住宅展示場のモデルハウス
これも展示期間が終了すれば取り壊されますので、永続性に欠け、登記できません。
・建築途中の建物
建築途中の建物は、その目的とする用途に使える状態にありませんので登記できません(建物が完成すれば登記できます)。
以上、「登記できない建物」について簡単にご紹介しましたが、実際には、建物として登記できるかどうかの判断は、非常に難しい場合があります。詳しくお知りになりたい場合は、お近くの土地家屋調査士にご相談ください。
次に、「主である建物と附属建物」について概要をお話しします。
問い
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私の家の登記事項証明書を見ると、母屋が「主である建物の表示」、物置が「附属建物の表示」という欄に記載されています。これはどのような意味なのでしょうか?
答え
────────────────────────────────
母屋が「主である建物の表示」、物置が「附属建物の表示」に記載されているのは、母屋と物置が一個の建物として登記されていることを表しています。
建物は、一個の建物毎に登記する事になっているのですが、同じ所有者の複数の建物が利用上一体となっている場合には、それらをまとめて一個の建物として取り扱うことができます。
実際には数棟ある建物を一個の建物として扱うわけですから、複数ある実際の建物を区別するために、主である建物と、附属建物といった形で分類しているわけです。
参考図1:
ここで重要なのが「利用上一体となっている」という事です。
参考図1の例では、物置は居宅の利用を補う関係にあることが明らかですので、居宅を主である建物、物置を附属建物として、全体を一個の建物として取り扱うことができるのです。
しかし、それぞれの建物の所有者が違ったり、建物としての要件を満たしていない場合には、利用上一体の関係にあっても、主である建物と附属建物として登記することはできません。
また、同一の所有者の建物であっても、それぞれの建物が独立して利用されているような場合には、主である建物と附属建物として登記することはできません。
参考図2:
以上、「主である建物と附属建物」について簡単にご紹介しましたが、実際には、主である建物と附属建物として登記できるかどうかの判断は、非常に難しい場合があります。詳しくお知りになりたい場合は、お近くの土地家屋調査士にご相談ください。
次回は「区分建物」「敷地権」について配信する予定です。
どのような内容なのか、楽しみにお待ち下さい。
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私たち土地家屋調査士は市民生活と密接に関係する土地・建物について、
登記測量の分野で深く関わっております。
今回のようなご相談は土地建物登記の専門家、土地家屋調査士をご活用
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どうぞお気軽にご相談下さい。
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【発行所】
あなたの街の登記測量相談センター
専任相談員 土地家屋調査士 加賀谷朋彦事務所
〒320-0027宇都宮市塙田4丁目6番6号
(東和コンサルタント株式会社内)
TEL028-627-4311 FAX028-627-4447
【発行責任者】 加賀谷朋彦 かがやともひこ
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