• 加賀谷朋彦土地家屋調査士事務所 トップページ
  • お役立ち情報バックナンバー

お役立ち情報バックナンバー

2005/02/01(火)

第008回「幅員3メートルの市道、道路後退必要か」

■■■■登記の加賀谷「土地建物の悩み相談Q&A」■■■■

こんにちは!
土地家屋調査士の加賀谷朋彦です。

前回の挨拶文の中で「訴訟代理権の付与・・・」とありましたが、境界紛争の「代理権」です。訂正をお願いします。また「境界確定制度」(法務省パブリックコメント)とありましたが、今通常国会への提出時には、急遽「筆界特定制度」に変更されました。多少、法務局もトーンダウンした感があります。

このメールは私と名刺交換していただいた方、「かがや登記測量事務所」
http://to-ki.jp/kagaya/ からお役立ち情報をお申し込みいただいた方に、
身近な事例として登記測量に役立つメッセージをお届けしております。

配信の申込み・変更・解除はこちらです。
http://to-ki.jp/kagaya/info.html

★★★2月[第8回目]の悩み相談宅急便★★★2005.2.1

******「幅員3メートルの市道、道路後退必要か」******

問い
____________________________________

私は5年前に宅地を相続しました。
子供が大きくなってきたため、古い家を取り壊して新築したいと考えて近
くの工務店に相談したところ、道路の問題を処理する必要があると言われ
ました。

そこで市役所に相談したところ、前面道路が市道でも幅員が3メートルし
かない場合は道路後退(セットバック)が必要で、それを解決しなければ
建築確認が降りないとのことでした。

道路後退(セットバック)とは具体的にどのようなことを言うのでしょう
か?
また、今後どのような手続きが必要になりますか?

答え
_______________________________________

古くから道路として機能している4メートル未満の道路であれば(市道に
限らず)、建築基準法42条2項の道路にあてはまることが予想されます。


建築基準法は昭和25年に制定されました。

この法律によると、建物を建てることのできる道路は、幅員を4メートル
以上とする(42条1項)とともに、建物の敷地がこのような道路に2メ
ートル以上接していることが必要と定めました。(43条1項)

そうすると、従来の4メートル未満の道路の幅を拡げることが必要になり
ます。法律を厳格に適用すると、それらの道路沿いに建っている建築物を
撤去する問題が生じてきます。

そこで建築基準法42条2項では、「この規定が適用される時点で、すで
に建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道路で、特定行政庁(役
所)が指定したものは、前項(42条1項)の道路とみなし、その中心線
から水平距離2メートルの線をその道路の境界線とみなす」という規定を
設けました。

つまり、こうした4メートル未満の道路沿いの建築物をそのまま存置しな
がら、「今後、改築したり新築するときは、元の道路の中心線から2メー
トル後退(セットバック)したところまでは道路扱いになります。」とし
たのです。

図ではB−2の部分


これによって、建物所有者の財産権を守りながら4メートルの道路と、そ
れに接道する(建築基準法の趣旨にそった)街並みがしだいに形成されて
いくことになるわけです。

以上が道路後退の意味です。

次に具体的な手続きですが、道路を挟んで向こう三軒、両隣の土地所有者
と、道路管理者との立会を求めて、道路の境界を確定させて道路の中心線
を割り出します。

中心線が決まったらその線から2メートル後退した点に境界標を設置する
ことになります。図B−2の部分は分筆登記を経て道路用地として役所に
寄付するケースが多いようです。

このような協議のことを狭隘道路協議(きょうあいどうろきょうぎ)と言
い役所の建築宅地課が担当窓口になります。

また、建築する建物の種類や規模によって2メートル以上後退しなければ
ならない例もありますので、綿密に事前調査を行い建築計画を立てる必要
があります。

役所によっては分筆登記や所有権移転登記に関する費用を補助してくれる
場合もありますので、土地家屋調査士か担当窓口へお問い合わせ下さい。

いずれにしても、道路にまつわる様々な問題をスムーズに解決するために
は、お隣さんや道路向いの方々と、普段のご近所付き合いを良くしておく
ことが重要になります。

もしこのような立会をご近所から求められた場合は、「明日は我が身」で
すので友好的に協力してあげていただきたいと思います。

次回は「土地を分割して相続させたい」についてです。

楽しみにお待ち下さい。

_______________________________________

私たち土地家屋調査士は市民生活と密接に関係する土地・建物について、
登記測量の分野で深く関わっております。
今回のようなご相談は土地建物登記の専門家、土地家屋調査士をご活用下
さい。
お電話又はホームページからご連絡いただきますと無料でご相談をお受け
しております。
どうぞお気軽にご相談下さい。
http://to-ki.jp/kagaya/

【発行所】
あなたの街の登記測量相談センター
専任相談員 土地家屋調査士 加賀谷朋彦
事務所
〒320-0027宇都宮市塙田4丁目6番6号
(東和コンサルタント株式会社内)
TEL028-627-4311 FAX028-627-4447

【発行責任者】 加賀谷朋彦 かがやともひこ
ご意見・ご感想をお待ちしております。
kagaya@to-ki.jp

こちらのホームページも是非ご覧下さい。
http://www16.ocn.ne.jp/~kagaya/

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 2005.2.1


バックナンバーリスト

2011/01/14(金) 第134回「相続した山林の場所がわからない」
2010/12/15(水) 第133回「30年前に建てた家は登記できるか」
2010/11/16(火) 第132回「国有地の払い下げ」
2010/11/01(月) 第131回「筆界特定後の筆界標の設置」
2010/10/01(金) 第130回「筆界特定後の措置とは」
2010/09/17(金) 第129回「筆界特定書とは」
2010/09/01(水) 第128回「特定調査とは」
2010/07/01(木) 第127回「論点整理とは」
2010/06/15(火) 第126回「現況把握調査とは」
2010/06/01(火) 第125回「基礎資料の内容と調査図素図とは」
2010/05/15(土) 第124回「事前準備調査とは」
2010/04/30(金) 第123回「進行計画の策定とは」
2010/04/15(木) 第122回「筆界の職権による調査とは」
2010/04/02(金) 第121回「筆界特定の標準処理期間とは」
2010/03/15(月) 第120回「筆界特定の手続き費用とは」
2010/02/01(月) 第119回「筆界特定の申請手数料とは」
2010/01/04(月) 第118回「1点のみの筆界特定の申請は可能か」
2009/12/15(火) 第117回「筆界特定の法的効力と手続きの構造」
2009/12/01(火) 第116回「筆界特定制度では筆界に争いがあるもの以外は扱わないのか」
2009/11/02(月) 第115回「筆界特定の方法とは」

総数:294件 (全15頁)

前20件 |<< 6 7 8 9 10 11 12 >>| 次20件