お役立ち情報バックナンバー
2009/07/21(火)
登記・測量のQ&A 第090号 「筆界特定制度の筆界とは」
■■■■登記の安養寺 お役立ち情報「登記・測量のQ&A」■■■■
いつもご愛読いただきありがとうございます。
土地家屋調査士の安養寺 務(あんようじ つとむ)です。
さて、突然ですが、お隣との土地との境界に、勝手に杭を設置することは
できないってこと、ご存知でした?まあ、当たり前ではありますが。
ところが、この勝手に設置された杭を、これまた勝手に抜いてしまうと、
それはそれで刑罰(刑法262条の2)の対象になってしまいます。
法律は難しいですね。
このメールは私と名刺交換していただいた方、私のホームページからお役
立ち情報をお申し込みいただいた方に、身近な事例として登記測量に役立
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読者の皆様からの要望にお答えし「登記・測量のQ&A」をお届けしてお
ります。
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◆登記・測量のQ&A 第090号
「筆界特定制度の筆界とは」
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前回は「筆界特定制度」についてその概要をお話ししました。
筆界特定制度は、土地の境界をめぐる紛争があった場合に、裁判に頼らず
とも早期に解決できる画期的な制度であることなどをご紹介しました。
今回からは筆界特定制度の中身について、お話ししましょう。
問い
────────────────────────────────
筆界特定制度の「筆界」とは何ですか?
一般的に言う境界とは違うのですか?
答え
────────────────────────────────
土地の境界とは、ある土地と隣接する土地との境のことですが、大別する
と「公法上の境界」と「私法上の境界」に分けられます。
この公法上の境界が筆界(ひっかい)となります。
筆界は、「登記」という法律に定められた手続きによって処理された境界
である事から「公法上の境界」とも呼ばれ、個人の意志で勝手に変更する
ことはできないことになっています。
この「筆界」で囲まれたひとつの土地を「一筆の土地」と呼び、地番によ
って区分されている事から、筆界は地番と地番の境と考えることもできま
す。
参考図1:
現在の土地の筆界は、
(1)明治初期の地租改正により原始的に創設されたもの
(2)その後分筆や合筆により形成されたもの
(市町村の国土調査や国の地図整備事業も含む)
(3)土地区画整理事業等による換地処分によって新たに形成されたもの
から構成されています。
また、土地の境界には、筆界のほかに土地所有者の所有権が及ぶ範囲の境
(所有権界)があります。
参考図2:
通常は筆界と所有権界は一致しているのが原則ですが、一致しない場合が
あり得ます。
参考図3:
参考図4:
例えば、1筆の土地の一部について時効取得や譲渡が認められているため、
筆界の変動がなくても、所有権界に変動が生じることがあります。
筆界特定制度は、その名のとおり筆界を対象とする制度ですから、所有権
界の位置についての判断を示すことはできないということに注意が必要で
す。
もし、筆界特定の申請が所有権界に関する内容であった場合は、その申請
は却下されます。
以上のことから筆界は境界(所有権の範囲)と一致することが多いのです
が、一致しないこともあるので、きっちり区別して判断する必要がありま
す。
(参考資料:法務省民事局パンフレット「筆界はどこ?」、日本加除出版
株式会社「筆界特定制度一問一答と事例解説、日本土地家屋調査士会連合
会「土地家屋調査士筆界特定実務の手引」)
もっと詳しくお知りになりたい場合には、お近くの土地家屋調査士におた
ずねください。
今回はここまでです。
次回は、筆界特定制度でいう「筆界の特定とは」について配信する予定で
す。
どのような内容なのか、楽しみにお待ち下さい。
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私達、土地家屋調査士は市民生活と密接に関係する土地・建物について、
登記・測量の分野で深く関わっております。
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