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お役立ち情報バックナンバー

2011/11/25(金)

「筆界特定の法的効力と手続きの構造」

問い
────────────────────────────────
筆界特定の法的効力と手続きの構造について教えて下さい。


答え
────────────────────────────────

まず法的効力についてお話します。

筆界特定とは、筆界確定訴訟のように筆界を確定する効力はなく、また、
行政処分性もありません。

加えて、筆界特定登記官には裁判官のような筆界の形成権限もなく、過去
に定められた筆界線を探し出して、「一方の当事者の同意がない場合であ
っても、筆界についての公的な認定判断を示す制度である」つまり、公的
な証明力を有するに留まるということです。

※「 」の引用は、民事月報Vol.60No.5「不動産登記法等の一部を改正す
る法律の概要」による。

(参考資料:「筆界特定制度関係Q&A集」日本土地家屋調査士会連合会編)

次に手続きの構造についてお話します。

筆界確定訴訟では、相隣接する土地所有者が原告被告となって主張や証拠を
提出する当事者対立構造を採用し、裁判所が当事者の提出した証拠資料をも
とに判断する構造とされています。

筆界特定においては、このような当事者対立構造をとらず、外部の専門家で
ある筆界調査委員が必要な資料の収集を行うこととされています。

なぜ当事者対立構造をとらないのかは、次の理由に基づくからです。

1、筆界は公法上のものである(筆界は既に決まっているものであり、当事
者の意志で自由になるものではない)こと。

2、適切な資料収集の必要性がある(資料収集を当事者のみに委ねていては
合理的な筆界を見出せず適切な判断ができなくなるため職権による資料収集
もある)こと。

3、隣人関係への悪影響(当事者対立構造をとり、隣人同士が両当事者とし
て争うと、隣人関係に悪影響を及ぼす)こと。

以上の理由から、当事者対立構造をとることなく、申請人は筆界特定登記官
に筆界特定を促すという構造になっています。

(参考資料:「筆界特定完全実務ハンドブック」弁護士鈴木仁史著日本法令)



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