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2011/05/31(火)

「筆界特定制度の筆界とは」

「筆界特定制度の筆界とは」


問い
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筆界特定制度の「筆界」とは何ですか?
一般的に言う境界とは違うのですか?




答え
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土地の境界とは、ある土地と隣接する土地との境のことですが、
大別すると「公法上の境界」と「私法上の境界」に分けられます。

この公法上の境界が筆界(ひつかい)となります。

筆界は、「登記」という法律に定められた手続きによって処理
された境界である事から「公法上の境界」とも呼ばれ、個人の
意志で勝手に変更することはできないことになっています。

この「筆界」で囲まれたひとつの土地を「一筆の土地」と呼び、
地番によって区分されている事から、筆界は地番と地番の境と
考えることもできます。

参考図1:
 

現在の土地の筆界は、

(1)明治初期の地租改正により原始的に創設されたもの
(2)その後分筆や合筆により形成されたもの
  (市町村の国土調査や国の地図整備事業も含む)
(3)土地区画整理事業等による換地処分によって新たに形成
されたもの

から構成されています。

また、土地の境界には、筆界のほかに土地所有者の所有権が及
ぶ範囲の境(所有権界)があります。

参考図2:
 

通常は筆界と所有権界は一致しているのが原則ですが、一致し
ない場合があり得ます。

参考図3:
 

例えば、1筆の土地の一部について時効取得や譲渡が認められ
ているため、筆界の変動がなくても、所有権界に変動が生じる
ことがあります。

筆界特定制度は、その名のとおり筆界を対象とする制度ですから、
所有権界の位置についての判断を示すことはできないということ
に注意が必要です。

もし、筆界特定の申請が所有権界に関する内容であった場合は、
その申請は却下されます。

以上のことから筆界は境界(所有権の範囲)と一致することが多い
のですが、一致しないこともあるので、きっちり区別して判断する
必要があります。

(参考資料:法務省民事局パンフレット「筆界はどこ?」、日本加
除出版株式会社「筆界特定制度一問一答と事例解説、日本土地家屋
調査士会連合会「土地家屋調査士筆界特定実務の手引」)