筆界未定地の解消は土地家屋調査士へ
筆界未定地(ひつかいみていち)とは、「地籍調査」が行われた際に、境界(筆界)を確認できなかったため、筆界が未定のまま処理されてしまった土地をいいます。例えば、1番の土地、2番の土地、3番の土地が筆界未定の場合には、地籍図には〈1+2+3〉と記載されるだけで境界線は表示されません。
境界を確認できない理由としては、筆界について所有者間に紛争があったり、現地で調査を行った際に土地所有者に立ち合ってもらえない場合等があります(他にも様々な理由があります)。
もし、全ての境界が決定するまで地籍調査を終了できないとしたら、地籍調査そのものが進まなくなってしまいます。そのような事態を避けるために筆界未定の処理が定められました。
しかし、筆界未定地として処理された土地は、そのままでは原則として分筆できません。
このような筆界未定地の解消に関するQ&Aをご紹介します。
筆界未定地Q&A
隣接地との境界が地籍調査の当時には決まらずに筆界未定地として処理されましたが、このたび隣接地所有者との間で筆界の確認がされました。
登記手続はどのようにしたら良いのですか?
地籍調査事業が完了するとその成果が地籍調査実施機関(市町村など)から法務局に送付されます。
その後に筆界の確認がなされたとしても地籍調査実施機関では処理してもらえません。
隣接地所有者と協力して当事者同士で登記手続をしなければなりません。この登記手続きは次のような順序で進めます。
- 該当する場所の筆界未定地の所有者と隣接地所有者全員に立ち会いを求め、登記所に備え付けられている関係資料をもとに筆界を確認し、境界標を埋設する。
- 実測する。
- 実測図に立会い者全員に筆界確認の印を実印で押印してもらい印鑑証明書の添付をお願いする。
- 筆界未定地それぞれについて地積測量図を作成する。
- 法務局に「地図訂正申出」と「地積更正登記」の申請をする。(役所には法務局から登記内容が通知される)
このように複雑な手続きが必要になりますので、当事者自ら登記手続きをすることはかなり困難だと思います。
当事者間の境界確認が不動産登記法に照らして妥当なものであるかも調査する必要があります。
筆界未定地を分筆しようとする場合、筆界未定を解消しないままでも分筆登記を申請することができますか?
分筆登記の申請書には、分割後の土地の表示をして、分割後の土地の地積測量図を添付することとされていますが、筆界未定地についてはその土地の全体の位置と範囲が現地で確認できないため、分割後の各筆の測量ができません。
つまり、地積を明らかにすることができないことになるので、このような土地については分筆登記は原則として認められていません。
また、筆界未定の部分が分筆しようとする土地のごく一部分であったとしてもその分筆登記は認められません。
しかし例外的な取り扱いがあります。
例外的な取り扱い
例えば、市町村が道路用地としてこの筆界未定地の一部を買収しようとするような場合、筆界未定の部分が市町村の買収しようとする道路用地部分と明らかに関係ないにもかかわらず、画一的に分筆登記ができないことになれば公共的な観点から好ましくありません。
そこで、登記の実務的な取り扱いとして、買収等により所有者に代位して分筆の登記を嘱託する場合には、当該部分が紛争部分に全く関係ないことを図示して、関係者の証明書が添付され、登記官もこのことを現地において確認できる場合は便宜、この登記を受理して差し支えないこととされています。(昭和47・2・3民三第110号民事局第三課長回答)
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