お役立ち情報バックナンバー
2012/05/15(火)
◆登記・測量のQ&A 2012年第009号
■■■■登記の吉野 お役立ち情報「登記・測量のQ&A」■■■■
土地家屋調査士の吉野清明です。
いつもご愛読いただきありがとうございます。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「筆界特定の法的効力と手続きの構造」
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
前回は「筆界特定制度では筆界に争いがあるもの以外は扱わないのか」についてその概要をお話ししました。
筆界特定制度を具体的に活用する場面で、実務上想定される内容についてお話しました。
例えば、隣地所有者が「立会に協力しない」あるいは「行方がわからい」など、必ずしも直接的な筆界紛争だけでない場合もありうる。というようなことをご紹介しました。
問い
────────────────────────────────
筆界特定の法的効力と手続きの構造について教えて下さい。
答え
────────────────────────────────
まず法的効力についてお話します。
筆界特定とは、筆界確定訴訟のように筆界を確定する効力はなく、また、行政処分性もありません。
加えて、筆界特定登記官には裁判官のような筆界の形成権限もなく、過去に定められた筆界線を探し出して、「一方の当事者の同意がない場合であっても、筆界についての公的な認定判断を示す制度である」つまり、公的な証明力を有するに留まるということです。
※「 」の引用は、民事月報Vol.60No.5「不動産登記法等の一部を改正する法律の概要」による。
(参考資料:「筆界特定制度関係Q&A集」日本土地家屋調査士会連合会編)
次に手続きの構造についてお話します。
筆界確定訴訟では、相隣接する土地所有者が原告被告となって主張や証拠を提出する当事者対立構造を採用し、裁判所が当事者の提出した証拠資料をもとに判断する構造とされています。
筆界特定においては、このような当事者対立構造をとらず、外部の専門家である筆界調査委員が必要な資料の収集を行うこととされています。
なぜ当事者対立構造をとらないのかは、次の理由に基づくからです。
1、筆界は公法上のものである(筆界は既に決まっているものであり、当事者の意志で自由になるものではない)こと。
2、適切な資料収集の必要性がある(資料収集を当事者のみに委ねていては合理的な筆界を見出せず適切な判断ができなくなるため職権による資料収集もある)こと。
3、隣人関係への悪影響(当事者対立構造をとり、隣人同士が両当事者として争うと、隣人関係に悪影響を及ぼす)こと。
以上の理由から、当事者対立構造をとることなく、申請人は筆界特定登記官に筆界特定を促すという構造になっています。
(参考資料:「筆界特定完全実務ハンドブック」弁護士鈴木仁史著日本法令)
もっと詳しくお知りになりたい場合には、お近くの土地家屋調査士におたずねください。
今回はここまでです。
────────────────────────────────
私達、土地家屋調査士は市民生活と密接に関係する土地・建物について、登記・測量の分野で深く関わっております。
ご質問、ご相談は、土地家屋調査士事務所をご活用下さい。
【発行所】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃
┏━━━┓土地を識り、人と社会につくす地識人
┃\_/┃〜境界測量・土地建物登記の専門家〜
┗━━━┛土地家屋調査士吉野清明事務所
┃ _______________________
┃|
┃|〒378-0004 群馬県沼田市下久屋町344番地2
┃|TEL 0278-22-9722 FAX 0278-22-9722
┃|土地家屋調査士 吉野 清明
┃|e-mail yoshino-kmht@ken.biglobe.ne.jp
バックナンバーリスト
2015/05/11(月) ◆登記・測量のQ&A 2015年第009号
2015/04/27(月) ◆登記・測量のQ&A 2015年第008号
2015/04/13(月) ◆登記・測量のQ&A 2015年第007号
2015/03/24(火) ◆登記・測量のQ&A 2015年第006号
2015/03/11(水) ◆登記・測量のQ&A 2015年第005号
2015/02/24(火) ◆登記・測量のQ&A 2015年第004号
2015/02/10(火) ◆登記・測量のQ&A 2015年第003号
2015/01/26(月) ◆登記・測量のQ&A 2015年第002号
2015/01/06(火) ◆登記・測量のQ&A 2015年第001号
2014/12/26(金) ◆登記・測量のQ&A 2014年第024号
2014/12/08(月) ◆登記・測量のQ&A 2014年第023号
2014/11/25(火) ◆登記・測量のQ&A 2014年第022号
2014/11/10(月) ◆登記・測量のQ&A 2014年第021号
2014/10/27(月) ◆登記・測量のQ&A 2014年第020号
2014/10/14(火) ◆登記・測量のQ&A 2014年第019号
2014/09/22(月) ◆登記・測量のQ&A 2014年第018号
2014/09/11(木) ◆登記・測量のQ&A 2014年第017号
2014/08/26(火) ◆登記・測量のQ&A 2014年第016号
2014/08/12(火) ◆登記・測量のQ&A 2014年第015号
2014/07/22(火) ◆登記・測量のQ&A 2014年 第014号