土地に関連するその他の業務について説明します。
土地の登記記録には、所在、地番、地目、地積が記録されていますが、それだけでは、その土地が現地のどの部分に当たるのかまでは分かりません。そこで、法務局には、土地の位置、形状、地番、隣地との境界などを確認することができる図面が備え付けてあります。
その図面のことを、地図と呼びます。まだ地図が備え付けられていない地域には、それに代わるものとして「地図に準ずる図面」いわゆる公図が備え付けられています。
この地図(または地図に準ずる図面)の表示に誤りがある場合、正しい表示に訂正することを地図訂正といいます。
地図に誤りがある場合、その土地の所有者等は地図訂正の申し出をすることができます。地図訂正の申し出を行う場合には、地図に誤りがあることと、訂正後の筆界が正しいものであることを立証する必要があります。
実務上は、土地分筆登記や土地地積更正登記を申請する際に地図を調査しますので、そこで地図の誤りを発見したとき、地図訂正の申出をいっしょに行うことになります。
地図訂正の申出には隣接地所有者の承諾が必要で、関係者が多い場合には、相当の時間と手間を要します。
土地の分譲や建売住宅を販売する時、もとの敷地を小さく分割することがありますが、建築物を建てるための敷地は、法律(建築基準法)で定められた道路に2m以上接しなければならない事になっています。ここで言う「道路」とは、国道や県道、市道といった公道だけでなく、私道であっても認められるものがあります。
例えば、土地を分割してそれぞれの土地に建築物を建てる場合には、新たに私道を設けて、特定行政庁(都道府県や市町村)から道路の位置指定を受けなければなりません。この指定を受けた私道が「位置指定道路(いちしていどうろ)」です。
なお、道路の位置指定を受けることができる土地は、「開発許可制度の適用を受けないものに限る」とされています。また、開発許可制度の適用を受けるかどうかの基準は、その土地が属する都市計画の区域や敷地面積等によって違いがあります。
さらに、道路位置指定が必要か否か、あるいはその条件等は市町村役場や土木事務所との打ち合わせが必要です。
必要な手続の流れは次のとおりです。
位置指定道路の申請代理は行政書士の業務ですが、作業の内容は測量や作図、登記と言った土地家屋調査士の業務が中心ですので、土地家屋調査士が窓口となって、行政書士と連携してが用務を進める事になります。
ところで、この位置指定道路は私道ですので誰かの所有物です。一般にはお隣さん同士で、自分の土地を少しずつ出し合って、お互いに道路として使うケースが多いようです。
隣の土地と自分の土地との間には境界があるわけですが、地面に線が引いてあるわけではありませんので、何か目印がなければ隣の土地と区別できませんね。その目印としての役割を果たすのが境界標です。
境界標は通常境界の折れ点に設置します。これにより境界標と境界標を結ぶ線が境界線であることがわかりますので、地面に境界線が引いてあるのと同じ事になるのです。
境界標があれば、誰が見ても境界の存在がわかりますので、土地の管理がしやすくなり、境界紛争は起こり難くなります。
土地を譲渡(売却)することになったり、相続などで土地を分割する必要がでてきた場合でも、その土地に境界標が設置されていれば、処理はスムーズに流れますが、境界標が設置されていなかった場合には、境界復元の作業などが発生しますので、それだけ費用と時間が掛かってしまいます。
また、塀などの構作物を築造する場合にも、境界標は必要です。
もし境界標がない場合は、法務局や道路管理者(県、市役所等)で調査した結果に基づいて測量し、境界標を設置しなければなりません。隣接地の所有者および道路管理者の立会も必要になります。
境界標の設置(復元)は、おおむね次のような流れになります。
境界標の材質や大きさ等に関する制約は特にありませんが、永続性のある石杭やコンクリート杭、あるいは金属標(プレート、鋲)等を用いるのが一般的です。
道路法や河川法といった法律が適用されない、里道、水路、普通河川などに使用されている土地(法定外公共用財産)で、公共の機能を失った国有地は、国から買い取ることができます。
例えば、昔からあったあぜ道や用水路、ため池などがそうです。それらのほとんどは地番がなく、法務局備え付けの公図には、里道は赤色、水路は青色で記載されていましたが、最近の新しい公図(地図)では着色されていません。
里道(りどう)は、赤色で記載されていたことから、赤線と呼ばれることもあり、現在でも農道などに利用されているものが数多くあります。
また、水路も青色で記載されていたことから、青線と呼ばれることもあり、現在でも用水路などに利用されているものが数多くあります。
使われなくなった里道や水路の中には、宅地や田畑の一部になってしまっているものもあり、このような旧里道や旧水路は、払い下げを受けることができます。
国有地の払下は、隣接地、対抗地の所有者と協議して申請します。国有地の管理者の立会いも必要です。
用途廃止払下手続の申請代理は行政書士の業務ですが、作業の内容は測量や作図、表題登記の申請といった土地家屋調査士の業務が中心ですので、土地家屋調査士が窓口となって、行政書士と連携してが用務を進める事になります。
このような国有地のほとんどは未登記で、未登記国有地の払い下げを受けた場合には、土地の表題登記を申請しなければなりません。
土地の表題登記を申請する場合には、次のような情報を添付しなければなりません(不動産登記令 別表四項添付情報)。
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